東京高等裁判所 昭和42年(ネ)1060号・昭42年(ネ)1741号 判決
本件記録によると、控訴人植田玲子の訴訟代理人野村幸由は控訴人の私文書による訴訟委任状を添付のうえ、同人の代理人として控訴状を作成し、これを控訴期間内である昭和四二年四月一二日に原審横浜地方裁判所に提出したことが認められる。そして当裁判所が同年八月二日午前一〇時の当審第二回口頭弁論期日に、右控訴代理人に対し「本件控訴状添付の私文書たる控訴人の同代理人に対する訴訟委任状につき、民事訴訟法第八〇条第二項による認証を受くべき旨」を命じたところ、同代理人は、同年九月二〇日午前一〇時の当審第三回口頭弁論期日において、「同法第八〇条第二項所定の認証を受けた控訴人植田玲子の本件訴訟委任状は提出しない」旨述べて、右法条所定の認証ある委任状を提出しなかつたことは当裁判所に顕著な事実である。
このように、訴訟代理人が私署証書により訴訟委任を受けた場合において、裁判所から「当該吏員の認証」をうくべきことを命じられたにかかわらず、これが認証をうけることができないときは、適法の委任がなかつたものと解するのが相当であるから、右代理人野村は適法な訴訟委任を受けることなく本件控訴状を提出したものというべく、控訴人の本件控訴は不適法として却下すべきものである。
(満田 高津 弓削)